3 修復術
PA/VSD では,心室中隔欠損を閉鎖し右室流出路再建を行う.右室─肺動脈間に連続性が存在する症例ではファロー四徴に準じ26),662)-664) ,連続性のない症例では後述する右室流出路再建を行う.中心肺動脈欠損例ではMAPCA を可能な限り自己組織のみで,必要なら異種心膜またはゴアテックスなどの人工物で再建・統合した後に右室流出路を作成する.本症の遠隔予後には肺動脈圧が大きく関与し,肺血管抵抗は統合された肺区域数により決定されるため,可能な限り広く肺区域を統合する. 肺動脈狭窄を合併したDORV では,心室中隔欠損の位置と両大血管の位置関係により,左心室からの血流を大動脈へ導く右室内リルーティングと,場合によってはDKS吻合を加えるなどの術式が選択される.高度肺動脈狭窄や閉鎖,あるいはTGAに準じる大血管関係である症例では,右室内リルーティングに加え右室流出路再建が行われる.肺動脈狭窄を合併したTGA では,心室中隔欠損孔を利用し心内導管により肺静脈血を左室から大動脈へ,心外導管などを用いて体静脈血を右室から肺動脈へ導くRastelli術が行われる.また,右室流出路再建に心外導管を用いずに右室流出路と肺動脈を直接吻合する方法も施行される. これらの術式においては,右室─肺動脈間の解剖学的連続の欠如または狭窄に対し,自己組織を用いた右室流出路再建3)-5),665) ,あるいは心外導管を用いた右室流出路再建を行う.同種肺・大動脈弁を入手しにくい我が国では,人工弁付き人工血管,異種心膜を利用した手作りの弁構造を有した導管などが多く用いられる.弁付き導管は術後の肺動脈逆流の回避に優れ,特に肺高血圧を有する症例に有用である.近年,異種生体材料に対する規制などの社会的背景などから,ePTFEなどの人工材料を用いる施設も多い666) .同種肺動脈弁と同等の遠隔成績を有するContegra(ウシ頸静脈とその静脈弁を肺動脈弁として用いる製品)など667) の導入も期待されている.脱細胞化異種弁の成績が期待されたが,今のところ良好な成績の報告はない668) .
先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン (2012年改訂版) Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)