4 術後の経過観察
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 心内修復後の合併症は,右室流出路狭窄および肺動脈弁閉鎖不全と,truncal valveの狭窄および逆流である.右室流出路再建において,術後の肺動脈弁逆流を防止する目的で弁付導管が使用されるが,遠隔期に導管狭窄が生じることが多い.異種生体弁に比べて同種生体弁の成績は良好とされるが643),652),異種生体弁でも同種生体弁と同等の成績を得たとする報告もみられる653).いずれにしろ,5 年前後の再手術回避率は50~ 80%程度であり632),638),642),643),647),652)-655),長期遠隔期では再手術は不可避である.新鮮な同種生体弁を用いた場合の中間値7.8年の観察期間では,有意な狭窄を認めなかったとする報告もある640)が,同様の方法でも狭窄は高率であるとする報告もある656).また,初回手術を新生児期に施行した場合,使用した同種生体弁径が小さければ,比較的早期にカテーテル治療が必要になるとする報告もある657).さらに,同種生体弁でも,大動脈同種弁より肺動脈同種弁を用いることを推奨する報告が散見される638),641),642),652).一方,弁付導管に比べ導管を用いない右室流出路再建では,死亡率が高いとする報告655)と差を認めないとする報告658)があるが,中長期遠隔期での右室流出路狭窄の頻度は,弁付き導管を用いない術式で少ない.

 Truncal valveの逆流に関しては,初回手術時に軽度以上の逆流を認めた症例では10年目の弁置換術回避率が63%であったのに対し,逆流がなかった症例での回避率は95%であった646)
Ⅱ 各論 > 8 総動脈幹 > 4 術後の経過観察
 
先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン
(2012年改訂版)

Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)