3 心内修復術
 心内修復術は,肺動脈幹の切離・閉鎖,心室中隔欠損の閉鎖,右室漏斗部から末梢肺動脈にかけての右室流出路再建により構成される.大動脈を離断する際に,両側の肺動脈が一隗となるように切除し,大動脈は端々吻合する場合もある.右室流出路再建は,切離した肺動脈に右室流出路からの導管遠位端を吻合するが,肺動脈を大動脈前方に移動するLecompte 法を加える場合もある633)-637).海外においては,右室流出路再建に同種生体弁や異種生体弁638)-643)など弁機能を有する導管が用いられているが,我が国では入手が困難で一般的な方法としては普及していない.このため,導管を用いずに直接右室流出路に吻合する方法(REV法)633),634),644),弁なし導管・弁付導管を用いる方法など様々な工夫がなされているが,有効性については一定の見解が得られていない.十分な弁口面積があって,閉鎖不全が中等度以下のtruncal valveに対する弁形成は,かえって逆流を悪化させる可能性があるため,行わないほうがよいとする考えもある645),646).中等度以上の弁逆流に対しては,truncal valveの修復もしくは弁置換が行われる.弁置換そのものが危険因子とされ647),弁形成のほうが予後を改善するとの報告もあるが645),647),648),弁置換を要するような弁逆流が予後に影響している可能性がある644),646), 649)-651)

 Truncal valveの狭窄が有意な場合(修復前には血流量が多いために狭窄の程度が過大評価される可能性がある),truncal valveの切除と同種動脈を用いる再建法を行うことがある651)
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先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン
(2012年改訂版)

Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)