2 解剖学的特徴
総動脈幹は,胎生期に本来形成されるべき大動脈─肺動脈間の中隔形成不全に伴って生じる.大血管が単一(総動脈幹)に心臓から起始した後,冠動脈・肺動脈・上行大動脈に分岐するという形態をとる.ほとんどの場合,心室中隔欠損と半月弁異常を伴い,肺動脈は冠動脈と腕頭動脈の間から起始することが多い.Truncal valveは右室流出路に偏位することもあるが,大動脈・僧帽弁間の線維性の連続性は保たれている.Truncal valveは通常の半月弁輪より大きく,弁尖の異常を伴うことが多い.弁尖異常に関連した弁逆流が予後を大きく左右する.また,総動脈幹の10~ 20%に大動脈弓離断や第5鰓弓異常などの大動脈弓異常を合併し,冠動脈の異常も10~20%に認められる.このため Van Praagh分類では,大動脈弓の低形成・離断を伴うものをsubtype 4 としている.大動脈弓の異常,特に大動脈弓離断を伴った症例の手術成績は比較的不良であり危険因子と考えられるが、近年では比較的良好な手術成績の報告もみられる
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先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン
(2012年改訂版)
Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)