4 術後の管理
TAPVC修復術後早期生存例の7~ 11% 606)-609) にPVOの発生が見られる.PVOは,術前同様心エコー検査で左房内に2m/sec以上の血流速が観察されることで診断され,Lacour-Gayet らはPVOと診断された症例の心臓カテーテル検査にて,全例に等圧以上の肺高血圧(PH)を認めた610) .Darling分類Ⅱ型597),606) ,CPVの低形成606) ,単心室例598) などが,術後PVO発生の危険因子と報告されている.低圧系での吻合に吸収性縫合糸を用いることが術後PVOの発生頻度の減少に貢献するとの報告があるが611) ,非吸収糸を用いた修復の報告も多い610) .van de Walらは,狭窄では各肺静脈自体に内膜増殖が進展するので,予後が極めて不良であることを示した(レベルC)612) .術後PVOに対する再手術時期は,術後平均4~5か月であり,1年以内が大半を占める.Fujinoらはイソプロテレノール負荷による検索から,術後12か月までにPVOを発症しなければその後PVOを来たすことはないと報告している613) .しかし,遠隔期にPVOを発症する症例も報告されており598),599),611) ,心エコー検査を含むフォローアップは遠隔期も定期的実施を検討すべきである.
先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン (2012年改訂版) Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)