4 術後の管理
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 心内修復術後は,生涯にわたる定期的な経過観察を行う.特に,遺残短絡,房室弁機能障害,右室及び左室拡大,両心室機能障害,肺高血圧,左室流出路狭窄,不整脈の出現に注意を要する.また,左側房室弁狭窄の出現にも注意する必要があり,肺高血圧を認めた場合に精査すべき病態である.さらにAVSDでは,房室結節,並びにHis 束が通常より下方偏位しているため,初期より房室伝導遅延を認めることがある.成長とともに,房室伝導遅延が悪化する可能性が指摘されており,定期的な心電図,並びにホルターによる房室伝導の評価が必要である.

①運動制限

 術後管理において,心臓の状態に合わせた適切な生活規制が,非常に重要である.心内修復術後,有意な遺残病変を認めない症例では運動制限をする必要はない.また,左側房室弁閉鎖不全があっても,自覚症状を認めず,著明な左室拡大,左室駆出率の低下がなければ,体育の授業は制限をしない(レベルC).重度の左側房室弁閉鎖不全,不整脈,左室流出路狭窄,左室の著明な拡大,左室機能の低下を認める場合,その程度に応じた運動制限が必要である.

②肺高血圧

 1歳までの心内修復術,あるいは肺動脈絞扼術により高肺血流が是正された場合には,二次性肺高血圧の遠隔期の進行は予防されるが,本疾患に多くみられる21トリソミーとの関連において,不可逆的な肺血管性肺高血圧症が出現しやすいとする説もある.

③妊娠

 「総論9 妊娠・出産」の項を参照のこと.
Ⅱ 各論 > 5 房室中隔欠損 > 4 術後の管理
 
先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン
(2012年改訂版)

Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)