1 はじめに
 房室中隔欠損(AVSD)は,歴史的に「心内膜床欠損」「共通房室弁口」などと呼ばれてきたが,現在ではAVSDにほぼ統一されてきている528).AVSDは5葉の房
室弁により形成される共通房室弁口の存在により,定義される.出生児の約0.02~ 3%にみられるとされ,比較的多い先天性心疾患であり,完全型のほうが不完全型(または一次孔欠損型)や中間型よりも多い.完全型の多くは21トリソミーに合併するのに対し(> 75%),不完全型は21トリソミーに関係しないことが多い(> 90%).また,ファロー四徴や他の複雑心疾患にも合併することがある.心房内臓錯位症候群では,多くの合併症例を認める.完全型では早期より肺高血圧を来たすために乳児期での治療が必要となる. Fontan術の適応となる症例を除いて,AVSDは2室型の心内修復術を行うが,遠隔期の再手術を要する合併症として房室弁閉鎖不全と左室流出路狭窄がある.
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先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン
(2012年改訂版)

Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)