3 心内修復術
 DORVの手術治療は,前述の心室中隔欠損の部位や肺動脈狭窄の有無,大血管関係などにより術式の選択は異なる.

①術式

 主に大動脈弁下や両半月弁下にVSDがあるVSD型やファロー四徴型のDORVに対して行われるリルーティング(左室と大動脈を心室内トンネルで連結する,心内
修復術型)497)-500),主に肺動脈弁下VSDで肺動脈狭窄のない大血管転位型のDORVに行われる動脈スイッチ術496)-500),右室肺動脈間に心外導管を用いる心外導管術7),13),大血管を一つとして単心室型に修復するFontan術495),497),500)の4つに大別される.さらに,心房位血流転換術を用いた手術法もある497).手術に際して,VSDの拡大術を施行したものは,切除ならびに拡大術を合わせて45%から62.5%との報告がある495),498),499)

②手術成績,術後遠隔期予後と問題点

 生存率は5年で87~ 88% 496),498),501),8年で81%との報告がある497)

 DORVでは大動脈が右心室から起始しているため,左室からの血流はいかなる手術であっても心室中隔欠損孔と右室腔の一部を通過することになる.手術後にこの通路が狭窄すると左心室の流出路狭窄(大動脈弁下狭窄)となる.右室内の心室中隔欠損孔と大動脈弁間の通路は,右室内導管の走行が長く血流が蛇行するため,狭窄となる場合がある502).発生部位は心室中隔欠損孔が最も多いとされる493).発生率は5%から8%と報告されている498),502)
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Ⅱ 各論 > 3 両大血管右室起始 > 3 心内修復術
 
先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン
(2012年改訂版)

Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)