2 解剖学的特徴
 DORVは両大血管,すなわち大動脈と肺動脈が右心室から起始している疾患である.しかし,大血管の位置異常や心室中隔欠損(VSD)の部位によって,さらに細
かく分類されている.心室中隔欠損の部位はLevの分類に従って,大動脈弁下,肺動脈弁下(Taussig Bing心疾患),両半月弁下ならびに遠位(noncommitted VSD)の4 つに分かれる491).近年の統一データベースのためのThe Society of Thoracic Surgeons(STS)とThe European Association for Cardio-thoracic Surgery(EACTS) の分類492)では,DORVは心室中隔欠損に類似した型,ファロー四徴に類似した型,完全大血管転位に類似した型,心室中隔欠損孔が半月弁から離れている型ならびにその他に分けている.これらの分類は血行動態からも手術治療の面からも理解しやすく実用的である.

 手術成績や予後と関係する合併心疾患も多彩である.肺動脈狭窄のほか,大動脈弁下狭窄や493)大動脈弓の閉塞病変を伴うことがある.また,一側房室弁両室挿入494)-496),多発心室中隔欠損494),496),497),肺動脈下型や遠位型でみられる冠動脈異常,一側の心室の低形成,肺静脈還流異常などが挙げられる.このほか,無脾症や多脾症などの内臓心房錯位に両大血管右室起始を合併する場合もある.
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Ⅱ 各論 > 3 両大血管右室起始 > 2 解剖学的特徴
 
先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン
(2012年改訂版)

Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)