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2 解剖学的特徴
 ファロー四徴(TOF)は,肺動脈狭窄,心室中隔欠損,大動脈騎乗を解剖学的特徴とするチアノーゼ型先天性心疾患で,二次的に生じる右室肥大を加えて“四徴”と命名されている.

 肺動脈弁下あるいは漏斗部狭窄はほぼすべてのTOFに認められるが,通常併せて肺動脈弁から肺動脈まで狭窄がみられる.肺動脈弁下狭窄は,流出路部あるいは漏斗部の前方(前頭側)への偏位によって生じる.肺動脈弁は概して径が小さく狭窄を認め,多くの症例では二尖弁又は単尖弁である.弁上狭窄をみることもある.肺動脈分枝部狭窄は,分岐部にも末梢部にも認められ,狭窄部が限定されている症例や狭窄がびまん性で全体が低形成の場合がある.

 TOFにおける心室中隔欠損は,多くの症例では傍膜様部の欠損であり346),流出路部中隔は前方に偏位し,欠損孔は大動脈下に位置してmalalignment型の心室中隔欠損となる.また,流出路部の心室中隔欠損を認めることが時にある.

 TOFと両大血管右室起始との鑑別については,大動脈騎乗の比率が50%以下の場合をTOFとし,50%を超える症例を両大血管右室起始とすることもあるが,大動
脈騎乗の比率に関係なく大動脈弁と僧帽弁間に繊維性の結合がある場合をTOFとすることが多い.

 流出路部中隔の前方偏位や大動脈騎乗と関連して,大動脈弁は拡大している.
Ⅱ 各論 > 1 ファロー四徴 > 2 解剖学的特徴
 
先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン
(2012年改訂版)

Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)