2 解剖学的特徴
①僧帽弁狭窄症

 先天性MSでは,弁の異形成や低形成を認める.異形成としては,弁の肥厚,腱索間の狭窄,乳頭筋の変形や乳頭筋の弁への直接挿入などがある900),901).低形成では,弁全体の低形成以外に,弁上部狭窄とパラシュート型僧帽弁に分類することができる.また,大動脈弁狭窄および大動脈縮窄を合併する場合はShone complexという.

②僧帽弁閉鎖不全

 先天性のMRは,形態の異常と弁の可動性により分類される902).弁の可動性に異常のない場合として,弁輪の拡大や弁の裂隙(cleft),弁欠損がある.このほか,弁の逸脱を伴う場合には,腱索の伸長,乳頭筋伸長や腱索欠如などの弁下組織の異常がある.弁の可動域制限としては,乳頭筋の癒合やバラシュート型,ハンモック型形態ならびに腱索や乳頭筋の低形成がある903).その他,重複僧帽弁口や僧帽弁の付着異常(エプスタイン様)などがある904)
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Ⅱ 各論 > 15 僧帽弁狭窄・僧帽弁閉鎖不全 > 2 解剖学的特徴
 
先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン
(2012年改訂版)

Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)