1 動脈管開存
他の先天性心疾患を合併しない動脈管開存に対しては,コイルやAmplatzer Duct Occluderを用いたカテーテル治療,結紮術,離断術などが行われる. 2009年の日本Pediatric Interventional Cardiology学会による全国集計では,247例に対してコイル閉鎖術が試みられ235例(95%)でコイル閉鎖に成功した.合併症はコイルの脱落などのみで死亡例はなかった.Amplatzer Duct Occluderによる閉鎖術は53例に対して試みられ全例で成功し合併症も認めなかった754) .一方, 2008年の胸部外科学会による集計では人工心肺を用いない閉鎖術は690例に行われ,手術死亡は12例(1.7%)で,内訳は新生児10例,乳児2例であった.39例(う ち30例は18歳以上)に対し人工心肺を用いた閉鎖術が行われ,手術死亡は1例(2.6%)であった755) .ただし,これらは患者背景がコントロールされた成績ではない. 閉鎖術後の予後はいずれも良好で,離断術が行われ残存病変がない場合には,遠隔期の経過観察は不要とされる(レベルC).カテーテル治療や結紮術の後に連続性雑音を聴取する遺残短絡を認める場合,カテーテル治療または再手術がすすめられるが756),757) ,心雑音を聴取しない遺残短絡は放置してもよいとの意見もある758),759) . いずれの治療を行った場合でも,他の先天性心疾患の合併がある場合や肺高血圧を合併していた例については,長期にわたる経過観察を検討すべきである(レベルC).
先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン (2012年改訂版) Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)