1 術式の変遷と術後経過
 Fontan術は,単心室とその類似疾患に対する機能的最終手術として広く行われており,様々な術式の改良や手術適応基準の見直しが行われてきた.現在,従来の心房肺動脈連結法(APC)に代わり大静脈肺動脈連結法(TCPC)が普及している688).TCPC法としては側方トンネル法(LT)と心外導管法(EC)がある.最近,Fontan術の長期生存率は術後10年で90%前後に改善し,長期遠隔成績が明らかになっている.遠隔期合併症としてうっ血性心不全のみならず,不整脈,蛋白漏出性腸症,血栓塞栓症,低酸素血症,心室機能不全などの発生頻度が高い689),690).このような症例に対しては薬物療法が第一選択となるが,難治性の場合にはカテーテル治療あるいは外科治療の適応となる691).Fontan術後の患者は専門病院において,少なくとも年一回の経過観察が必要である(クラスI,レベルC).
次へ
Ⅱ 各論 > 10 Fontan術 > 1 術式の変遷と術後経過
 
先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン
(2012年改訂版)

Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)