1.生理的修復術後
   導管狭窄
    修復術後の中等度あるいは高度の体循環房室弁(三尖
弁)閉鎖不全
   体循環心室(右室)機能不全
   有意な心室中隔欠損遺残
   肺動脈/肺動脈弁下狭窄の進行
   置換弁機能不全
   人工材料に対する感染性心内膜炎
2.DS術後
   上下大静脈狭窄
   冠動脈狭窄,閉鎖
   高度大動脈弁閉鎖不全
   導管狭窄
・肺動脈分岐部狭窄:カテーテル治療
・上室頻拍,心室頻拍:カテーテルアブレーション
・完全房室ブロック(症候性,進行性または高度の徐脈,運
動時心拍数増加不良,心拡大):ペースメーカ植込み
・洞機能不全症候群:ペースメーカ植込み
・心室再同期療法(CRT)
・植込み型除細動器(ICD)
7 再侵襲的治療
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①カテーテル治療とペースメーカ治療(表13)

 カテーテルアブレーションは,上室頻拍,心室頻拍に有用だが,再発が多い(レベルC).

 肺動脈分岐部狭窄に対して,経皮的バルーン形成術が行われることがある.DS術の心房位血流変換術後の上下大静脈狭窄や心外導管狭窄に対しては,経皮的バルーン形成術が考慮されるが,これらは「各論2 完全大血管転位」の項を参照のこと.

 完全房室ブロックは突然死が多く,ペースメーカ装着を検討する(クラスⅡ a,レベルC).右心機能低下例では,心房心室同期ぺーシング(DDD)が推奨される(ク
ラスⅡa,レベルB)524).心室頻拍を伴う場合は,ICDも考慮される525).心室再同期療法(CRT: Cardiac resynchronization therapy)は,QRS 間隔,体心室径,
駆出率などの改善をみるが,体心室左室と比べると改善の度合いは大きくない102),525),526)

②外科治療(表14)

 生理的修復術後で経年的な三尖弁閉鎖不全の増悪,中等度以上の閉鎖不全を認める場合は,三尖弁置換術ないし三尖弁形成術を検討する(クラスⅡ a,レベルC).多くの場合,三尖弁形成術は難しい.三尖弁手術は,右室機能低下(非可逆的な心筋病変)を生じる前に行うことが望ましい(クラスⅡ a,レベルC).再弁置換術を行う場合もある524).修復術後遠隔期の右室機能不全では,DS術が考慮されるが,左室圧が低く手術適応ではないことが多い.左室トレーニングのための肺動脈絞扼術が検討されるが,DS術まで到達できる例は少ない.成人での到達例はない515),516),527).肺動脈絞扼術後は,三尖弁閉鎖不全が軽減することがある515)

 DS術後例では,上下大静脈狭窄解除術のほか,導管狭窄に対して右室流出路形成術または心外導管置換術などが行われる(「各論9 心外導管を用いた手術」の項を参照のこと).
表13 内科的侵襲的治療
表14 再手術の適応
Ⅱ 各論 > 4 修正大血管転位 > 7 再侵襲的治療
 
先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン
(2012年改訂版)

Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)