三尖弁閉鎖不全: 経年的に悪化.再手術の危険因子は修復術 後の中等度以上の遺残三尖弁閉鎖不全 置換弁機能不全 不整脈: WPW症候群に伴う房室回帰頻拍,心房内マクロリ エントリー性頻拍,心房粗細動,心室頻拍,洞不全 症候群,術後房室ブロック 突然死:不整脈死とともに主な死因のひとつ 左室機能低下:左室緻密化障害の合併や左室機能障害 チアノーゼ・奇異性血栓: 心房内シャントの残存により出現 する (レベル C)
4 術後遠隔期予後 (表18)
三尖弁形成術後や三尖弁置換術後の生命予後は良好で,三尖弁手術後の10~ 15年生存率は約90%,死亡原因は心不全,不整脈,突然死となっている880)-882) .術後のQOLは有意に改善するが886),887) ,三尖弁に対する再手術率は両者とも10年で20%前後と有意差はなく,選択される手術は主に三尖弁置換術である.また,生体弁と機械弁との比較でも,耐用年数に有意差を認めていない888) .乳児期以前に発症する重症例の予後は不良である.出産時に診断のついているエプスタイン病の生産児の1年生存率は67%,10年生存率は59%である879) . 三尖弁手術後の三尖弁機能不全は経年的に悪化しやすく,左室病変や左室機能低下を生じることがある889) .WPW症候群を合併しやすいため(約30%)房室回帰性頻拍が見られることが多いが,他に房室結節回帰頻拍や心房頻拍,心房粗細動などの上室頻拍,心室頻拍,徐脈頻脈症候群も認めることがある885) .また三尖弁置換術後には房室ブロックを発生することがある886),890) .
表18 修復術後の罹病
先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン (2012年改訂版) Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)