① カテーテル治療(バルーン形成術,ステント留置術

 肺動脈狭窄に対するバルーン拡大術のほか,経カテーテル肺動脈弁置換術も海外では可能となってきている.これらの手技は将来複数回必要となる外科的再手術の回数を減少させ,患者のリスクを軽減させることができる可能性がある(クラスⅡa,レベルC)806)

 肺動脈のステントによる拡大術はMullinsらにより始められ807),O’Laughlinらがその中期成績を詳細に報告している808).外科的に今まで解除することが不可能であった肺動脈の狭窄に対して,高い効果を得ることが可能である809).ステント治療が始まって約20数年が経過するが,機材の性能は向上し続けており810),手術と同時にカテーテル治療を実施するハイブリッド治療も可能であり,今後ますます応用範囲が広がっていくものと思われる.

②外科再手術

 右室流出路狭窄に機能的狭窄の要素が含まれる場合(漏斗部の肉柱による狭窄など)であれば,βブロッカーなどが有効なこともあるが,カテーテル治療が効果的
でない器質的狭窄では,外科手術を検討すべきである(クラスⅡ a,レベルC).

 外科手術のうちposterior peel techniqueは,おもに導管手術後の患者に適応となる術式である683).後面が自己組織であるのでその後の複数回の再手術を回避できると考えられるが811),半数近くが再手術になったという報告もある(クラスⅡb,レベルC)686)

 肺動脈弁閉鎖不全が容量負荷による右心不全を惹起することを懸念して,transannular patchには単弁付パッチを用いるなどさまざまな工夫が考案されているが,
monocuspはePTFEを使うほうが遠隔期にも機能するのではないかと考えられている28)

 弁付導管による再手術では,新しい素材の弁付導管が考案されており,再手術に用いることが可能であるが,現時点では同種動脈弁に勝る素材は開発されていな
790),793),812),813)

 肺動脈弁再弁置換術は,狭窄と同時に閉鎖不全による右室拡大を認めるような症例,あるいは将来の右室の拡大が懸念される場合,狭窄を解除すると同時に確実に流出路の逆流を防止するために行うが,同時に不整脈手術を行うことがある(クラスⅡb,レベルC)814)-816)
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4 右室流出路狭窄に対する侵襲的治療法
Ⅱ 各論 > 12 肺動脈狭窄・右室流出路狭窄 > 4 右室流出路狭窄に対する侵襲的治療法
 
先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン
(2012年改訂版)

Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)