5 心臓リハビリテーションを含めた治療としての運動
小児CHD患者での心臓リハビリテーションの有用性は,これまで多く報告されている273)-282) .比較的年少時に運動に参加することで,有酸素運動能が向上し,その効果は比較的持続し,精神的な自己確立にも役立つ275),283) .また,運動を含む,レクリエーションなどの活動に参加することで精神的な自己確立などに有用かも知れない284) .したがって,運動の身体・精神発達への有効性を考慮すれば,禁忌でなければ運動活動への参加は奨励される285) .いっぽう,患者の運動が許容された範囲を逸脱している場合も想定されるため286) ,監視下での運動が好ましい. 慢性心不全を有するCHD患者に対する抗心不全療法としての運動療法の効果は全く不明である.いっぽう,成人CHD患者でも,心臓リハビリテーションの有用性に注目されはじめている287)-289) .自己の生活の質や余命を過大に評価している場合もあり290),291) ,心不全の評価の一部としての心肺能力を客観的に評価することは有用である.CHD患者の運動リハビリテーションへの普及には資金や人員確保等の障害はあるものの292) ,運動能向上が将来の心事故軽減と関連する可能性があることから,運動習慣への啓発や教育が必要である293) .
先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン (2012年改訂版) Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)