治療に関して対象を術後PHに限局したトライアルや大規模スタディはなく,これまでは少数例が先天性心疾患関連PHとしてEisenmenger症候群と併せて報告され
ている190)のみである.現時点ではIPAHに準じた治療が検討される.

 基礎治療として次の薬物が用いられる場合がある.

 ◦ 経口抗凝固薬(ただし喀血や出血傾向がある場合には用いられない)
 ◦利尿薬
 ◦酸素吸入
 ◦ ジゴキシン

 これに加えて以下の肺血管拡張薬が,急性血管反応性試験の反応に基づいて投与されることがある(レベルB)186),190),191)

 ◦経口カルシウム拮抗薬のほか
 ◦エンドセリン受容体遮断薬
 ◦プロスタノイドアナログ
 ◦プロスタノイド持続静注(エポプロステノル)
 ◦PDE5 阻害薬

 2007年の本ガイドライン策定以降,我が国でも特定肺動脈拡張薬として新たにPDE5 阻害薬タダラフィル,エンドセリンA受容体遮断薬であるアンブリセンタン
が市販された.また,トレプロスティニル,アイロプラストの他イマニティブなどの治験が行われている.

 これらに反応がみられない場合にはコンビネーション治療(レベルC)182),また心房中隔欠損作成や肺移植を考慮する場合がある185)
3 治療
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Ⅰ 総論 > 5 先天性心疾患術後遠隔期の肺高血圧 > 3 治療
 
先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン
(2012年改訂版)

Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)